湯涌温泉 かなやの離れ「青巒荘 せいらんそう」の口コミ金沢体験談

石川県は金沢市の湯涌温泉の美食宿「かなや」があります。
本館もとても人気があり、料理もとても美味しい宿です。

そこに「青巒荘(せいらんそう)」という離れがあります。(離れは3室あるのですが)
ここが静寂に包まれた空間・贅沢なお部屋でのんびり過ごせます。

そんな「青巒荘」の非日常的な空間を楽しむことができた方の体験談(レビュー)を載せます。
ただ10年以上前のことなので、今は同じような体験はまず出来ないかと思いますが、「かなや」のおもてなしの心は実感できると思います。

参考になったらと思います。

 

「湯涌温泉・高級旅館への旅」湯涌温泉にある老舗の高級旅館「かなや」

今から10年以上前のこと。

随分と古い話になるが、あまりにも感動的で、今なお忘れ難い旅の一つだけに、ぜひ紹介しておきたい。

それは石川県金沢市の湯涌温泉にある老舗の高級旅館「かなや」宿泊の旅。(現在も高級旅館として営業中)

家族ら計8人で市中心部にある妻の実家を出発した。ここからは車で約30分。

それほど遠くはないが、目的地一帯は緑の大自然に囲まれた山あいの地域。静かなたたずまいの中で、品位と伝統のある趣を漂わせている。

まさに、知る人ぞ知る“名所”であり、素晴らしい建物、おもてなしは筆舌に尽くし難い。

ネットのホームページなども参照しつつ、1泊2日の楽しかった旅の思い出を綴っていきたい。

 

かなやの離れ「青巒荘」最上級の部屋満喫

この温泉旅行は、当時小学生になったばかりの次男坊の入学祝いと、実父の喜寿祝いを兼ねたものだった。

私と妻の両家の両親を伴い計8人。

ワゴン車1台に乗って出掛けた。宿泊した旅館は、湯涌温泉の中でも伝統のある有名な高級温泉旅館。

しかも、私たちが泊まった部屋は、ちょっとした女将さんの計らいで用意してもらえた最上級クラスの離れ「青巒荘(せいらんそう)」。

3部屋で構成され、それぞれに特色が施されている。

このうち、2部屋が2階建てで、ホテルでいうメゾネット方式になっている感じだ。

私たちが泊まったのは、この中でも最上級の部屋「山法師」

大正ロマンの雰囲気が漂う和洋の客室…との説明通り、1階は14畳の和室があり、ここから眺める窓外の緑もまた乙なもの。

階段下には囲炉裏があって、これを囲んでの談笑は格別。

私が子供の頃に味わった懐かしい思い出が、今にも蘇ってきそうな錯覚に陥る。

さらに、客室の隣には半露天風呂も。「半」と銘打ってある通り、全面ガラス張りになっていて外気は小窓からのみ。

だから虫が入ってくる心配もなく、たっぷりと窓越しに庭の風情を満喫しながら湯船につかることができる。

まさに高級な温泉風呂を独り占めしたような感覚。

何とも言えない静寂の中で、一人ゆったりと物思いに耽る空間と時間を楽しめる。

そんな半露天風呂。とにかく圧倒される造りが印象的だ。

吹き抜けの階段伝いに2階に上がると、和風の前室を通って12畳の洋室がある。

その隣というか、洋室と並んだところに豪華なベッドルームが。

謳い文句にもある大正ロマンを思わせるような装飾のツインタイプ。

両方の部屋を合わせると実にゆったりとした空間が広がり、不思議と心が落ち着く。

こちらも豪華なテーブルを前に椅子に腰掛け、窓から外の緑一面を眺めていると、まるで時間が止まったかのような錯覚さえ覚える。

建築関係にはさっぱり無頓着な私としては、本当に「素敵」といった言葉しか浮かばないような造りになっている。

おもてなしの心に感激

さて、こんな素敵な離れの部屋をなぜ取ったのか、はたまた取れたのか…といった理由を述べておきたい。

実は本当は、一般客室を予約したのだが、満席状態だった。

そこで次男坊の小学校入学に加え、私の父の喜寿の祝いを兼ねて何とか…との趣旨を話すと、しばらく時間を置いてから「引き受けます」との快い返答があった。

それがまさにこの最上級クラスの離れだった。この部屋だけが空室になっていたため、祝いの席ならと勧めてくれたのだ。

しかも料金はかなり割り引いてくださいました。
お祝いということとたまたま予約が入っていなかったので、こんな計らいになったのだと思います。

突然のサプライズに驚くばかり。

かつて金沢を舞台にした人気ドラマ「花嫁のれん」のメーンテーマである「おもてなしの心」を間近に見た思いだった。

サプライズの感激を思い出しながら「山法師」の客室に入り、あちこち細部にわたって見学。

実父や義父が半露天風呂に入る一方で、私は子供たちを連れて本館にある大浴場へ。

大小の岩を敷き詰めた露天風呂もあり、春真っ直中の4月下旬という程良い陽気も手伝って最高の気分。

「ここ、すごいなあ!」と感激し通しの子供たちとの会話も弾み、風呂に何度も浸かったり上がったりして加賀名所の湯をたっぷりと満喫した。

次男坊へもサプライズ

一服して午後6時ごろからは、こちらも本館にある宴会場へ。

100畳もある中宴会場を仕切った30畳ほどのスペースに、2列にわたって朱色の縦長の絨毯が敷かれてあった。

丁度その上に特大の一の膳が置かれ、座布団を敷いた座椅子が配置されていた。

相向かいに4人ずつ。私の父母と二人の息子が並び、対する列には義父母と妻、私の順で並んだ。

記念にと用意したビデオカメラをコーナーにセッティング。

もちろんカメラは常時使えるよう席に備え、シャッターチャンスを狙っての撮影も準備万端。いよいよ宴会がスタートした。

幹事役の私が当然だが、あいさつの口火を切った後、喜寿を迎えた父が簡単にお礼の一言。

最後に小学生になった次男坊が、はにかみながら小声で感謝の言葉を述べた。

さあ、これで食事をと思いきや、女将さんがあいさつに訪れた。

このとき、突然のサプライズ。

次男坊に入学祝いの品をプレゼントしてくれたのだ。

まさかこんな心遣いをしてもらえるとは予想だにしなかったので、次男坊は目の前に来た女将さんにびっくり。

「この度は、おめでとうございます」と言われ、傍らで見ている私の方が緊張してしまった。

さあ、ちゃんと返答できるのかと、親心も大に注目。

そんな心配をよそに次男坊は、はきはきした声で「ありがとうございます」としっかり頭を下げながら、プレゼントを受け取っていた。

私はその様子をみて大満足。これだけでも、ここに宿を取って良かったと心底思った瞬間でもあった。

ちなみに中身は写真立てだった。記念の写真をここに…との思いが詰まっているような気がして嬉しかった。

伝統料理の逸品に感嘆

料理はさすがに加賀料理の逸品揃い。

ご当地を代表する伝統の治部煮(じぶに)をはじめ魚や肉、野菜など旬の食材が満載だった。

ここで治部煮についてだけ、当旅館の説明を参考に紹介しておきたい。

というのも、本当にこの郷土料理は美味だからだ。

私がかつてこの地に転勤になって初めて食したのが治部煮だったこともある。

「鶏肉をそぎ切りにして小麦粉をまぶし、だし汁に醤油、みりん、砂糖、酒を合わせる。これに、すだれ麩や加賀の季節野菜を入れて、とろみをつけたもの。最後に、わさびを加えて完成」とある。

当旅館では、さらに工夫を加え続けているといい、とびきり上等な味になっている。

そんな美味をお酒とともに堪能し、私をはじめ父や義父の男性陣は、すっかりほろ酔い気分に。

母や義母、妻は女同士の会話が弾んでいる様子。

傍らでは満腹になり、宴会にそろそろ飽きたであろう子供たちが、いつも通りのポケットゲームに興じていた。

午後8時ごろ宴会終了。
一端部屋に戻って小休止。

ただし、子供たちは既に目ざとく見つけた卓球台へとまっしぐら。
全身汗びっしょりになりながら、熱戦を展開し始めた。

しばらくすると、男性陣は酔いも結構さめてきて館内を散策。

結局、子供たちにつかまり卓球を少々やる羽目に。

盛り上がったのは良かったものの、老体にむち打って奮闘することしきりでダウン。
こちらも汗をしっかりかいて、大浴場へと逃げ込んでいった。

朝食後、一人で半露天風呂に

就寝は何時だったか、あまりはっきりとは覚えていない。

少なくても午前1時は過ぎていたことだけは間違いない。

1階の囲炉裏を囲んで遅くまで酒やビールを飲みながら、談笑していたことは覚えているのだが…。

加えて、子供たちはどうしていたのか…。

私はかなり酔いが回っていたようで、翌朝目覚めたら、ちゃんと布団の中にいて、ホッと胸をなでおろしたことだけは鮮明に記憶に残っている。

朝食もまた昨夜と同じ宴会場で。

これはどの宿に泊まっても思うことだが、特に高級旅館の朝食は実に旨い。

だから、どんなに深酒をしても起き上がることにしている。

当旅館の朝食も旬の魚や野菜を中心に最高の味付けで大満足だった。

さらに朝食の後は、最後の入浴も。客室の半露天風呂に一人で入った。

心地よい湯加減。

窓越しに見える庭園を眺めながら、若干夜中にかいた汗を荒い落としつつ、静かなひとときを堪能することができた。

チェックアウトのため、この素敵な客室を出るとき、今一度、全室をじっくりと観賞した。

和洋折衷の造り。

しかも時代の流れをも感じさせてくれる装飾品…等々。

あちこちに細やかな気配りが見られ、本当に多くの人にぜひ勧めたい空間との思いを新たにした。

午前10時過ぎ。玄関には女将さんをはじめ、仲居さん数人が見送りに立っていた。

丁寧なお礼のあいさつ。深々と頭が下がる思いだった。

当時のビデオや写真をあらためて鑑賞していると、あのときの感動をつい先日のことのように味わうことができる。

それでも、もう一度行ってみたい…。
ふと、そんな思いに駆られる。まさに素敵としか言いようのない高級旅館への旅だった

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